食事に気をつけているのに、子どもの便秘が続く。そういうとき、自分の関わり方に原因があったのではないかと考えることがあります。
食事を整えれば便通も整う、と考えられがちです。ただ、子どもの便通は、食べたものだけで決まるわけではありません。
腸の動くペースや、体のこわばり、環境の変化。いくつかが重なって、出にくい状態が続くことがあります。
食事に気をつけていても便秘が続く理由と、便の状態によって変わる関わり方を、順に見ていきます。
子どもの便秘は、めずらしいことではありません
NPO法人日本トイレ研究所が2017年に全国47都道府県の小学生4,777名を対象に行った調査では、国際的な基準(ROMEⅢ)に照らして、6人に1人(16.6%)が便秘状態にあるという結果でした。便秘状態にはいたらないものの予備軍とされた子を含めると、**3人に1人(37.3%)**になります。
クラスに何人もいる、ということです。
この数字が示しているのは、子どもの便秘が、特別なことが起きた結果ではない、ということです。食事を整えている家庭でも起きます。
同じ食事でも、反応が違うのはなぜか
食事を整えていても、便通がすぐ変わるとは限りません。子どもの腸の動きには個人差があり、食事以外の要因も重なって反応が変わることがあります。
腸には「ぜん動運動」と呼ばれる動きがあります。腸が波打つように縮んだりゆるんだりして、中身を先へ送っていく動きです。このスピードには個人差があり、早くリズムが整う子もいれば、ゆっくり時間をかけて整っていく子もいます。
さらに、腸の動きは自律神経と深く関わっています。気持ちが落ち着いているときのほうが、腸は自然に動きやすい。緊張しやすい子、環境の変化に敏感な子は、食事を整えていても反応が違うことがあります。
「同じように食事を作っているのに、うちの子だけ出ない」と感じても、それは食事の問題ではなく、腸のペースの違いであることが多いところです。
便が硬い子と、我慢している子では、できることが違う

同じ「出ない」でも、体の中で起きていることは違います。
便が硬くて出せない子。 出たときの便がカチカチ、コロコロしている。出すのに時間がかかる。この場合は、便をやわらかく保つ方向が先になります。水分と、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)が関わってきます。
痛くて我慢している子。 一度硬い便で痛い思いをすると、次から出すのが怖くなります。トイレに行きたがらない、便意があるのに動かない、隠れて力を入れている。この場合は、食べものを足しても、我慢が続くかぎり変わりにくいところです。緊張をゆるめるほうが先になります。
見分けにくいのは、この2つが重なっている場合です。便が硬い、だから痛い、そうすると我慢する、もっと硬くなる。この順で回り始めていることがあります。
こうなると、片方だけでは止まりにくくなります。便をやわらかくしても、痛かった記憶が残っているうちは我慢が続きます。逆に、我慢をゆるめようとしても、便が硬いままなら、また痛い思いをすることになります。
ただ、痛がり方が強いときは、家庭の工夫より先に小児科に相談するほうが早く落ち着きます。。
薬を使う前に家庭でできることを知りたい方は、こちらを参考にしてください。
「出させよう」としないことも、ひとつの関わり方
子どもにとって、便意や腹痛は「よくわからない不安」であることが多いです。
「トイレ行こう」「出るかな?」という声かけが、悪気なく体をこわばらせてしまうこともあります。我慢する、緊張する、さらに出にくくなる。この循環が起きてしまうことは珍しくありません。
あえて何も言わず、出る・出ないを話題にしない時間をつくる。それもひとつの、やさしい関わり方です。
声かけの仕方で迷っている方は、こちらに具体的な言い方をまとめています。
親も力を抜ける形にしておく
食事に気を配ること、生活リズムを整えようとすること。どれも大切です。
ただ、子どもの便秘が続くと、親のほうも疲れてきます。「まだ足りないかもしれない」「もっとちゃんとしなきゃ」と思うほど、毎日の声かけや食事づくりが苦しくなることがあります。
便秘の対応は、親が緊張し続けるほど長続きしません。
完璧なメニューを目指すより、今日はひとつだけでいい。そう思える形にしておくことも、子どもにとって安心しやすい環境になります。
今日から、結果を求めずにできること
治すためではなく、ゆるめるための提案です。どれかひとつで十分です。
便が硬いようなら
- 味噌汁に、わかめやなめこを足す(水に溶ける食物繊維が多い食材です)
- おやつに、熟したバナナを半分
- 起きてすぐ、常温の水を少し飲む
我慢していそうなら
- 今日一日だけ、トイレの話題を出さない
- 添い寝のとき、温かい手をそっとお腹に置く
- 子どもの前で、ゆっくり深い息を吐く
「やらなきゃ」にならないことが、いちばん大切です。
こんなときは、小児科に相談してください

家庭で様子を見るのは、体調が落ち着いているときの話です。次のような状態があるときは、食事の工夫より先に受診を考えてください。
- 4〜5日以上便が出ておらず、苦しそうにしている
- 排便のたびに強く泣く、痛がる
- お腹が張って硬くなっている
- 便に血が混じる
- 食欲がなく、元気がない
- 体重が増えていない、または減ってきている
日数はあくまで目安です。嘔吐や強い腹痛、ぐったりしている様子があるときは、日数よりもそちらを優先して構いません。
もうひとつ、見落とされやすいものがあります。トイレが自立したあとなのに、下着に便がついている、少量の便が漏れる。これは、たまった硬い便のわきを、ゆるい便がすり抜けて出てくることで起こります。
この状態は便秘が続いているサインとして知られているので、相談してみてください。
日数や便の状態から目安を知りたい方は、こちらを参考にしてください。受診のときに使えるメモも載せています。
→ 子どもの便秘は何日出なかったら心配?受診の目安と家庭でできる見守り方
そして、もうひとつ。
親がしんどくなってきたことも、受診の理由になります。毎日便秘のことが頭から離れない。子どもが泣くたびに胸が苦しくなる。工夫を考えること自体に疲れてきた。そう感じているなら、それだけで相談していい理由です。「このくらいで病院に行っていいのかな」と迷わなくて大丈夫です。
まとめ|便秘を食事だけの問題にしなくていい
食事、生活、声かけ。どれかひとつで説明できないことが、子どもの体にはたくさんあります。
出たか出なかったかという一日の結果に答えを出そうとしなくても、体はその子のペースでちゃんと進んでいます。
便が硬いのか、我慢しているのか。まずそこを見てみるだけでも、関わり方は少し変わります。どちらか分からないときや、痛みが強いときは、家庭だけで抱えず小児科に相談して大丈夫です。
今日は、結果を急がずに、ひとつだけできることを選んでみてください。
参考にした情報
- NPO法人日本トイレ研究所「小学生の排便と生活習慣に関する調査」(2017年3月・全国47都道府県の小学生4,777名) https://www.toilet.or.jp/wp/wp-content/uploads/2017/11/activities03.pdf
- 日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」(受診の目安の項目を照合) https://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf
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