便秘がなかなか解消しなくて、薬に頼るのは少し抵抗がある。そんなときに「オリーブオイルが便秘にいいらしい」という話を、どこかで見かけたことはありませんか。
毎日の料理に使うオリーブオイルで、本当に便秘が変わるのか。気になるけれど、根拠がはっきりしないものを試すのは不安、という方も多いと思います。
結論から言うと、オリーブオイルと便秘の関係には、いくつかの研究があります。「絶対に効く」と言い切れるほどではありませんが、「なぜ便秘にいいと言われるのか」には、ちゃんと説明できる理由があります。
この記事では、オリーブオイルが便秘にどう関わるのか、研究でわかっていること、取り入れるときの量や方法、注意したい点までを、ひとつずつ整理していきます。
オリーブオイルは本当に便秘にいいの?|研究でわかっていること
まず気になるのは、「実際の研究ではどうなのか」というところだと思います。
オリーブオイルと便秘を直接調べた研究は、まだそれほど多くはありません。ただ、いくつかの試験で前向きな結果が報告されています。
比較試験での結果
小規模な比較試験では、エクストラバージンオリーブオイルを数週間取り入れることで、便秘症状や便の状態の改善がみられた報告があります。
別の研究では、オリーブオイルと、便秘薬として使われる「ミネラルオイル(鉱物油)」を比べたものがあります。透析を受けている方を対象に、1日小さじ1杯ほどのオイルを4週間続けたところ、オリーブオイルはミネラルオイルと同じくらい、便秘の症状をやわらげたという結果でした。ミネラルオイルは便秘治療に使われることがある油なので、それと同程度というのは、注目できる結果です。
大きな集団を追いかけた研究
さらに、食事のパターンと便秘の関係を、15万人以上を20年以上にわたって追いかけた大規模な研究もあります。そこでは、オリーブオイルを主な油として使う「地中海食(地中海沿岸の伝統的な食事)」に近い食生活の人ほど、慢性的な便秘になりにくい傾向が見られました。ただし、これは地中海食全体の傾向であり、オリーブオイル単独の効果を示したものではありません。
ただし、これらの研究はまだ数が限られています。「オリーブオイルさえ摂れば便秘が治る」という話ではなく、「便秘の人にとって、試してみる価値のある選択肢のひとつ」という受け止め方が現実的です。
なぜオリーブオイルは便秘にいいと言われるのか|3つの仕組み
ここからは少し詳しい話になりますが、「なぜ油が便秘にいいの?」という疑問に、できるだけわかりやすく答えていきます。
オリーブオイルが便秘に関わると考えられている理由は、大きく3つあります。

① 胆汁(たんじゅう)の分泌をうながす
少し聞き慣れない言葉が出てきますが、ひとつずつ説明します。
胆汁とは、肝臓で作られる消化液のことです。脂を細かく分解して、体に吸収しやすくする働きをしています。
この胆汁、ほとんどは腸で再吸収されて肝臓に戻っていくのですが、一部(5%ほど)はそのまま大腸まで届きます。そして大腸に届いた胆汁の成分には、腸の中に水分を引き出したり、腸の動きをうながしたりする、ゆるやかな下剤のような働きがあると考えられています。
実際に、便秘の人は胆汁の成分が少なめだった、という研究報告もあります。
オリーブオイルには脂が含まれているため、それを摂ると胆汁の分泌がうながされます。その結果、大腸に届く胆汁が増えて、腸が動きやすくなる可能性がある、という考え方です。
ただし、この仕組みについてはまだ研究の途中で、はっきり証明されたわけではありません。「そう考えられている」という段階の話として受け止めてください。
② 便の通過を助ける可能性
油分が便の通過を助ける可能性があると考えられています。便が動きやすくなったり、柔らかくなったりする、というイメージで語られることが多いですが、これも「そう考えられている」段階の話です。
ただし、これには条件があります。オリーブオイルが小腸ですべて吸収されてしまうと、大腸まで届かず、この働きは起こりません。どのくらいの量が大腸まで届くのかは、現時点ではっきりわかっていません。
③ 腸内環境を整える可能性
3つ目は、腸内細菌との関係です。
これはまだ動物を使った研究が中心で、人での確かな結論は出ていません。ただ、エクストラバージンオリーブオイルには、腸内細菌の種類を豊かにして、善玉菌(ビフィズス菌など)を増やす可能性があると報告されています。
また、オリーブオイルに含まれるポリフェノール(植物に含まれる、体にいい働きが期待される成分)には、腸の炎症をやわらげる働きがあるとも言われています。
腸内環境との関係も研究されていますが、人の便秘改善にどの程度関わるかは、まだはっきりしていません。
どのくらいの量を、どう取り入れればいい?

仕組みがわかったところで、実際の取り入れ方を見ていきます。
種類は「エクストラバージンオリーブオイル」を
オリーブオイルにはいくつか種類がありますが、便秘のために取り入れるなら、エクストラバージンオリーブオイル(EVOO)を選ぶのがよいとされています。
エクストラバージンは、オリーブを最初に搾ったときに採れる油で、ポリフェノールなどの体にいい成分が、もっとも多く残っているからです。
量は「小さじ1杯」から
研究では、1日に小さじ1杯から、多いもので大さじ1〜2杯程度まで幅があります。まずは小さじ1杯くらいの少量から始めて、お腹の様子を見ながら調整していくのが安心です。
いつ摂る?
研究では「食事とは別のタイミング」で摂る例が多く見られます。食べ物と一緒だと、オリーブオイルが小腸で吸収されやすくなり、大腸まで届きにくくなる、という考え方からです。
取り入れるタイミングに決まった正解はありません。そのまま飲む方法を試す方もいますが、空腹時に胃が重くなる方は、まずは朝食やサラダに少量かけるところから始めるほうが無理がありません。
そのまま飲む?混ぜる?
取り入れ方には、いくつかの方法があります。
ひとつは、スプーンでそのまま飲む方法です。オリーブオイル特有の、のどの奥がピリッとする感覚があるかもしれませんが、これは質のいいエクストラバージンに含まれる成分(オレオカンタール)によるもので、気にしすぎなくて大丈夫です。風味が気になる方は、レモン汁を少し加えると飲みやすくなります。
もうひとつは、飲み物に混ぜる方法です。コーヒーに混ぜる方もいます。コーヒー自体に腸を刺激する働きがあるとされるので、相性を感じる方もいるかもしれません。
オレンジジュースやプルーンジュースなど、もともと便通に関わるとされる飲み物に混ぜる方もいます。
自分が続けやすい方法を選んでみてください。毎日のことなので、「無理なく続けられるかどうか」がいちばん大切です。
取り入れるときに気をつけたいこと
オリーブオイルは食品なので、薬のような強い副作用の心配は少ないですが、いくつか知っておきたい点があります。
摂りすぎるとお腹がゆるくなることがある
いちばん多いのは、下痢です。ただ、これは一度に大量(大さじ数杯以上)に摂ったときに起こりやすいもので、適量を守っていれば心配は少ないとされています。
カロリーは高め
オリーブオイルは、大さじ1杯でおよそ120キロカロリー、脂質が14グラムほどあります。体にいい油とはいえ、油は油です。便秘のためにと量を増やしすぎると、全体のカロリーが増えて、体重に影響することもあります。「たくさん摂れば効く」ものではないので、適量を意識してください。
赤ちゃん(乳児)の便秘には使わない
乳児の便秘に対して、オリーブオイルを自己判断で飲ませる方法は一般的な対応ではありません。赤ちゃんの便秘が気になるときは、小児科に相談してください。
油そのものが合わない方もいる
胆のうや膵臓に持病がある方、脂質の摂取に注意が必要な方は、自己判断で取り入れる前に、医師や薬剤師に相談すると安心です。
オリーブオイルだけに頼らない
ここまでオリーブオイルの話をしてきましたが、ひとつ大切なことをお伝えしておきます。
便秘の原因は、ひとつではありません。水分が足りていない、体を動かす時間が少ない、食事のリズムが乱れている、便意を我慢する習慣がある。こうした要因が、いくつも重なっていることがよくあります。
オリーブオイルは、あくまで「便を出しやすくする手助け」のひとつです。これだけで全部が解決するわけではないので、生活全体のなかの、ひとつの選択肢として取り入れるのが現実的です。
食物繊維の取り方を整理したい方は、「便秘にいい食物繊維はどっち?水溶性・不溶性の違いと自分に合う選び方」もあわせて読んでみてください。食事をなかなか変えられない忙しい方は、「食事を変えられない人の便秘対策」で、無理のない整え方をまとめています。
こんな状態なら、医療機関に相談してください
オリーブオイルを試す前に、知っておいてほしいことがあります。次のような状態があるときは、自己流のケアより、受診を優先してください。
- 便秘が長く続いている
- 便に血が混じる
- 強い腹痛がある
- 便が急に細くなった、便通が急に変わった
- 体重が理由なく減ってきた
ひとつでも当てはまるなら、オリーブオイルなどで様子を見続けず、一度医療機関に相談してください。受診の目安については、「便秘で病院に行く目安」で、何科に行くか、伝え方まで整理しています。
まとめ|オリーブオイルは「知っておく選択肢のひとつ」として
オリーブオイルと便秘の関係について、整理してきました。
ポイントを振り返ると、
- オリーブオイルには、便秘をやわらげる可能性を示した研究がいくつかある
- 仕組みとしては、胆汁の分泌をうながす・便の通過を助ける可能性・腸内環境への関与、などが考えられているが、いずれもまだ研究段階
- 取り入れるなら、エクストラバージンを、小さじ1杯から様子を見て
- 空腹時が合わない方は、食事にかける方法から始めてもよい
- 摂りすぎると下痢やカロリー過多につながるので、適量を守る
- 乳児には使わない
便秘対策の中心に据えるものではありませんが、研究が一定数ある食品として、知っておいてよい選択肢のひとつです。
まずは小さじ1杯から、自分のお腹の様子を見ながら、無理なく試してみてください。合わないと感じたら、続ける必要はありません。自分の体に合うものを、少しずつ見つけていきましょう。
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