―― 自分を責めなくていい理由と、気持ちを「判定外」にする考え方 ――
まだ鏡を見てもいないのに、目が覚めた瞬間から、なんとなく気分が重い。
お腹は張っていて、数日間すっきり出ていない。体がだるくて、布団から起き上がるのにも少し気合いがいる。
こういう朝は、不思議なほど心まで沈みます。
洗面台の前に立つ。鏡を見る。そこに映るのは、むくんだ顔、荒れた肌、冴えない表情の自分。
理由はわからないけれど、ため息ばかり出る。そのたびに、気持ちが少しずつ曇っていって、頭の中まで、どんよりと重くなっていく。
でも、どうかここで一つだけ、知っておいてください。その絶望感は、あなたの本音でも、性格のせいでもありません。
今、あなたの体と脳の中で、期間限定の“誤作動”が起きているだけなのです。

生理前に「自分が嫌い」になりやすいのは、脳の仕様
生理前になると、「今日は、自分に1点もあげられない」そんな感覚に襲われることがあります。
これは、気の持ちようではありません。
排卵後、女性の体ではホルモンバランスが大きく変わります。
この時、心を安定させ、安心感や自己肯定感を支えるセロトニンという脳内物質が、一時的に減りやすくなります。
セロトニンが不足した脳は、いわば「不幸を探すレンズ」を強制的に装着された状態。
普段なら気にならない欠点ばかりが拡大され、自分にも、世界にも、厳しい評価しか下せなくなります。
つまり、今あなたが感じている「自分が嫌い」という感情は、自然なことです。
それは、セロトニン不足の脳が鳴らしている誤報アラートなのです。
便秘とお腹の張りが、気持ちをさらに沈ませる理由
この時期の落ち込みを、さらに強くするのが生理前特有の「お腹の張り」と「便秘」です。
生理前に増える黄体ホルモン(プロゲステロン)には、体内に水分や栄養を溜め込もうとする働きがあります。
その影響で腸の動きはゆっくりになり、骨盤まわりの血流も滞りやすくなります。
結果として生まれるのが、物理的な「重さ」「詰まり感」「不快感」。
脳は、この体の不快信号を、そのまま「精神的な不安」へと翻訳してしまいます。
お腹が重い
↓
体が動かない
↓
「私はダメな状態だ」
「未来も暗い気がする」
こうして、体の状態が、心の評価にすり替えられてしまうのです。
心が弱いのではありません。あなたはただ、動けない体の中に支配されているだけなのです。

それは「あなただけ」じゃない
「ここまで落ち込むのは、自分だけなんじゃないか」そう感じる人は、とても多いです。
でも実際には、多くの女性が生理前に
- 鏡を見るのが嫌
- 人に会いたくない
- 自分を否定する考えが止まらない
といった状態を経験しています。
これはPMS(月経前症候群)、PMDD(月経前不快気分障害)として知られている、体と心の正当な反応です。
波の大きさは人それぞれで同じ人でも、月によって強さは変わります。
今のあなたは、たまたま「波が高い月」に当たっているだけ。
異常でも、甘えでもありません。多くの女性が、何度も通り過ぎてきた場所に、今いるだけです。
この日の処方箋は「何もしない」こと
この日にいちばん大切なのは、自分を評価しないと決めることです。
前向きになろうとしなくていい。自分を好きになろうとしなくていい。
今のあなたは、世界を歪ませる「壊れたレンズ」をかけています。
だから今日、頭に浮かぶ「私はダメだ」「価値がない」という言葉を、人生の事実として採用しないでください。
嵐の日に備えて、普段からできること

生理前になってから、何かを決めたり、選んだりするのはとても大変です。
気力も判断力も落ちているときに、「自分に合うもの」を探すのは、想像以上に疲れます。
だからこそ、元気な日のあなたが、未来の自分のために「考えなくていい場所」をいくつか用意しておいてあげてください。
ひとつは、気持ちがざわついたときに、もしあれば戻れる場所のような「基準点」を持っておくこと。
それは、香りかもしれないし、好きな音楽かもしれないし、ただ静かに座って、何もしない時間かもしれません。
「リラックスできなきゃいけない」必要もありません。
ただ、少しだけ呼吸が戻るような感覚があれば、それで十分です。
どちらも、生理前のためだけの対策ではありません。
あなたの日常が、嵐の日にもポッキリ折れてしまわないための、土台づくりです。
何かを選ばなくてもいいし、何かを変えなくてもいい。
ただ、体を冷やさずに過ごす。それだけで、今日は合格です。
そう決めておける選択肢があるだけで、生理前の不安や自己否定は、思っている以上に静かになります。
生理前のあなたを救うのは、その日の頑張りではなく、元気な日のあなたが用意してくれた、ささやかな備えなのですから。
※「これがあれば大丈夫」と思えるものをあらかじめ決めておくことで、生理前に迷わずに済んでいます。
普段のメンテナンスとしての水素入浴
気持ちが戻れるアイテムとしてのハーブティー
まとめ|自分を好きになれない日が、あっていい
生理前、自分が嫌いになるのは、あなたの心と体の構造がそうさせているだけ。
直さなくていい。
変えなくていい。
無理に好きにならなくていい。
今日はただ、自分をいちばん緩めてくれる時間を選んで、それを大切にしてみませんか。
自分を裁かずに一日を終えること。
それだけで、今日は十分です。
店主からの一言
自分を励ますことさえ、今日はしなくていいですよ。
何も決めず、何も解決せず、一日を終わらせる。
それは、あなたがあなたを守り抜いた、とても立派な選択です。
この記事が、鏡の前で立ち尽くす誰かの心を、ほんの少し軽くする「お守り」になりますように。

